「最後の王者」 感想

 というわけで読了です。
  
 本は、読者によって感想は千差万別であります。
 
 まず、MotoGPに興味があるライトファン・あるいはMotoGPを知らない方にとって。
 時系列で綺麗にまとめられた、青山博一選手を中心としたMotoGP物語。あるいは取材メモとして、とても分かりやすく、用語やルールなども優しく書かれているため、本として、ノンフィクションとして良書であると思います。
 
 一方でMotoGPビーファンにとっては、情報としては既出の事が殆どではないかと思います。これだ! というような目新しい新事実はありませんでした。淡々。というか、ノンフィクションだから当たり前なんですけれども、「本」という形態だけに、更に突っ込んだ取材…ナンバーやスポルティーバ的な特集や、ゲットスポーツ的な掘り下げも、ちょっと期待してしまっていましたが、その要素はほとんどありません。
 読後感は…MotoGPがF1化してきて、金がかかって、ライダーは実力ではなくて金で決まる。そしてライダーがどんどん事故で亡くなっていく悲惨な世界…というイメージが強く残りました。それは日々感じている事実ですが、悲しすぎる。救いがなく、ファンであればある程辛くなってしまうような気がします。これ…既にMotoGPと共にあるファン以外の方が読んだとして、MotoGPを好きになってくれるのかな…。そういう意味で、なんというか、特にファン以外の人にはお勧めしにくいです。うむむむむむむ。でも、今の私が悲観的過ぎるのかもしれません。案外、いや、青山選手すごいね、これから応援することにするよ! と言ってくれる方も多いのかもしれない。巻末に、青山選手から本書に寄せてメッセージがあったりしたらもっと良かったかも。
 あと装丁デザインは、折角東本さんを起用するなら、もっとそれらしいイラストにしてほしかったです。これだと写真でもいいと言うか、写真の方がいいんじゃ? と思ってしまいました。
  
ん…?
最後の王者は…、M1グランプリ的に…笑い飯なのか!w