2005 MotoGP 初戦スペインヘレス ラストラップ最終コーナー

tatsuzuk2005-04-14

 
 結論、やっぱり真実は藪の中。けどおもしろくなってきたよー。
 
 あと三周。ヴァレンティーノ・ロッシは充分にセテ・ジベルノーの走りを見て、勝算をつかんだ。いける。今行けば、セテを突き放せる。彼のマシン状況は終盤に来て厳しいようだ。最終コーナーの進入、ブレーキングで並び、抜き去った。あとは2周、いつものように飛ばすだけだ。
 しかし、ヴァレはラストラップ、引き離せないセテに対しての焦りもあり、痛恨のブレーキングミス。軽く接触をしながら、位置を入れ変える。ラスト2コーナー、攻めて抜き返したヴァレは、今度はフロントまで滑らせる。
 
 セテは、昨年同じパターンでヴァレに何度もやられ続けている。いつまでも同じ手でやられるわけには行かない。ラスト3周、セテはあえてヴァレに抜かせるために、0.5秒タイムを落とした。そしてヴァレを先行させ、ぴったりと後ろにつく。計算どおり。あとはラストラップ、ロッシのミスを待ちつつ、最終コーナーで抜き返すのだ。
 
 最終コーナーに向け、セテが先行、ヴァレは一か八かのブレーキング勝負に出る。しかし、セテは最終コーナーに残る多数のタイヤマークの最も内側、つまりレコードラインでは最も内側にマシンを位置、24周目にあえて抜かせた時と比べれば明らかなブロックライン。これで完全にヴァレを出し抜いた。これ以上のインは、強風に運ばれてきた砂が浮き、ブレーキングができない「はずだ」。そして音からすると、ヴァレはアウトに振っていない。勝った!
 
 セテがぴったりついてくるという計算ミス、焦りから出た2回の大きなミス。ヴァレは熱くなっている。最終コーナー、セテはブロックライン。自分に残されたのは、汚れたイン側。どうする?ここで引いたら絶対に勝てない。一か八か、汚れたインをさすしかない。
 もし、インのインをつき、制動が効き、セテのインにつければ、ヴァレの勝利だった。しかし、汚れたインのインは、制動が利かなかった。ブレーキしても止まらない。止まらないからマシンが倒せない。迫るテレフォニカカラー。ぶつかる!
 
 セテの後方車載カメラには、最終コーナーで迫ってくるヴァレの姿が映っていた。セテがブレーキを終了、倒しこんでいる。ロッシはなおも迫る。接触接触の瞬間、ヴァレのマシンの姿が見えている。つまり、横に並んでいない。後ろからの追突だ。別の車載カメラには、倒しこんでいるセテの肩に、ヴァレのハンドルが後ろからぶつかっている。追突である。空撮の画面が映る。ヴァレのラインは、もしセテがいなければ、アウトにはらんでコースアウトしかねないラインである。G+では、ノリックが同じコメントを残した。24周目、同じく最終コーナーでロッシはセテを抜いている。その映像と、ラストラップの映像を見比べてみよう。並んで抜いているロッシと、後ろからオーバースピードで汚れたラインを突っ込んでくるロッシの違いは明白だ。
 接触後も見てみよう。インをついたロッシは横に並んだセテを押し出す形でコースぎりぎりのアウト側まではらんでいる。接触後のセテの選択肢は,グラベルに出ること以外に無かったものと思われる。
 ヴァレンティーノは、これがレースだ、とコメントしている。解説では宮城氏が盛んにレーシングアクシデント、れーしんぐっと叫んでいる。ノリックもレーシングアクシデントで許されるぎりぎりと思う、といっている。たしかに接触は激しいバトルにはつきもので、見て興奮するものだ。しかし、あえてぶつかる、ぶつかって相手が危ないかもしれないが、勝つためには一か八か、行くしかない。というレベルであればまた別と考える。しかも、それを仕掛けた方が言うのはスマートではない。良心の呵責に耐えかねたロッシが、つい自己弁護のために言った言葉であろう。レースにはロッシが勝った。勝負では、惨敗である。
 セテは、ヴァレの危険な走行がなければ、完全に勝っていた。レースには負けたが、勝負では勝った。精神的にも優位に立った。昨年完敗した最大の理由、「精神力」「駆け引き」で、上回ったのだ。その余裕が、レース後に現れている。あの「感情を抑えられない」セテはもういない。そこにいるのは、明らかな自信を手に入れた最強ライダーなのだ。
 昨年までのセテ×ロッシは、明らかにメンタリティ・駆け引きではヴァレが格上で、微妙に勝負が見えており、つまらない面もあった。セテは今までの反省を充分に活かしてきた。本当のライバル対決は、2005年、やっと始まったといえるだろう。これは実に楽しみである。今日から早くも第二戦、ポルトガルGP。さらに楽しみが増えたMotoGP、ますます盛り上がることは間違いない。
 
 …とか、書いてみたりして。ぜんぜん間違っているかもしれません。多分、真実は藪の中、誰にもわかりません。いろいろ調べた結果、私的にはこういう結論としました。違うかもしれませんが、結構調べましたし、押し付けないのでお目こぼしください。てへ。はー、やっとすっきりした。
 
ノリックウォッチ
・ろっしふみとか、自分でいわんといてください。恥ずかしい。
・ボードにABEってかいてあったとこにはぜんぜん触らないのね。